互いに重荷を担い合う

御 言 葉

 おのおの善を行って隣人を喜ばせ、互いの向上に努めるべきです。      

   ローマの信徒への手紙 15:2


 イエス様の考えをそっくり受け継いでいるパウロは、私たちに実践不可能と思われることを勧めます。「わたしたち強い者は、強くない者の弱さを担いなさい」(15:1)と言うのです。この「担う」はギリシア語で「バスタゼイン」。この語には、単に担うという意味から進んで「耐え忍ぶ」、さらに「自分の持っている自由さえ相手のことを思って行使しない」ということまで含まれています。つまり、弱い者のためにいわゆるおすそ分けのように、自分の持っている余分なもののうちから、自分の懐が傷まない程度に分け与えなさいということではないのです。他人のために自分が耐え忍ぶほどの犠牲を払いなさい、あるいは、自分の金は自分のために自由に使ってもかまわないはずですが、それも他人のために使いなさいということなのです。私たちキリスト者はイエス様を主と信じ、彼に結びついていることで、すでに強い者となっている。自分の力ではなく、神様の恵みによってそうしていただいている。私たちはどのような状況下にあっても必要なものは必ず与えられる。だから、そのような者にしていただいていることに感謝して、強くない人の弱さを担ってやりなさいというのです。事実パウロはそういう生き方を貫いた人でした。

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