施しについて

御 言 葉

 施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。

   マタイによる福音書 6:3


  イエス様は人に施しをするときには、隠れたところでしなさいと勧めています。これは「あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい」(マタイ 5:16)とのお言葉と矛盾しているように思われます。ですが、このお言葉は、よき業に励む私たち自身ではなく、私たちがそのことで福音を証ししていること、そのことを多くの人たちに見てもらいなさいとおっしゃっているのです。そして、また、隠れたところでしなさいということには、人の目を意識しないで、ただひたすら隣人の苦しみや悲しみに考えを集中して業に励みなさいとの意味もあります。さらに、よき業が人々の目に対して隠されているばかりでなく、業をなす私自身の目に対しても隠されているべきだ、つまり、業をなしている時に自分は善行をしているという意識からも自由であれとイエス様は望んでおれます。自分自身の思い、例えば、これをしたらどのような報いがあるだろうか、そのような思いに捉われることなく、飢えている人を見たら食べさせ、渇いている人には飲み物を与えなさいとおっしゃっているのです。私たちの思いをあれこれに分散させずに励むのです。そのことが右の手のすることを左の手に知らせてはならない、ということだと思います。私たちキリスト者はイエス様に結びついて、その日に必要なものは与えられます。そして、人の思惑や、自分自身への思いからも解放されて、今、必要とされる業に励むことが出来るのです。

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