新しい酒、古い酒

御 言 葉

 また、古いぶどう酒を飲めば、だれも新しいものを欲しがらない。「古いものの方がよい」と言うのである。

    ルカによる福音書 5:39


 私たちは旧約の時代ではなく、新約の時代に生きています。私たちは律法を守るとか、種々の儀式を行うとか、神様に供物をするとか、そういうことで救われるものでないことはよく知っています。ただ、福音に対する信仰によってだけ救われるものだということは分かり切ったことだと思っています。自分を空にして神様にすべてをゆだねて歩む、それが信仰生活だと知っています。しかし、私たちは自分がからっぽでは不安で仕方ないのです。何か自分の手で充たさないではいられないのです。ユダヤの人たちは自分を律法で充たしましたが、私たちはつい自分の信仰というもので充たしたくなるのです。信仰がしっかりしている、それを神様の前に持ち出したい、あるいは人々に見て頂きたい。ついそのような気持ちにとらわれてしまいます。自分の力で自分を充たそうという気持ちからなかなか解放されないのです。古い酒は飲みやすいのです。しかし、イエス様はそれでも繰り返しおっしゃっているのです。信仰を持つということは、自分をすっかり神様に明け渡すこと、自分が何も持たずに神様の前に手ぶらで立つことだとおっしゃるのです。そのからっぽを神様が充たしてくださる、このことを信じて歩んでいくのが私たちの信仰生活です。それこそ確かな生き方であり、真の自由が得られます。

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