人間とは何か ― 聖書の人間観

御 言 葉

 主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。

   創世記 2:7


 人間が土から造られたという聖書の表現は、人間は土地や自然の一部である、被造物であることを示しています。しかも、土の塵のように、人間の弱さ、脆さが示されています。人間は「土に返る」、すなわち死ぬべきものであり、有限なものです。さらに、神はこの人間を、陶器師が粘土を使って自分の思いのままに作品を造るように、ご自分の考えで造られるのです。私たちはそれに対して、なぜこのように造ったのかと抗議することは出来ません。神の自由です(ローマ9:20)。聖書が示しているこれらの事実は私たちを謙虚にしてくれます。世の中が自分の希望通りにならないと簡単に絶望したり、反抗的になったりする子供じみた生き方から解放してくれます。私たちは現実のありのままの自分から歩き出すのです(他の人のありのままの現実も受け入れて)。私たちは自分の弱さや脆さをなげくよりも、そのような現実の自分を愛して造ってくださった神の恵みを受け取ることが求められているのです。そのためにも、神は人間の鼻に息を吹き入れてくださったのです。人間は生物体として空気を吸うことによって生きているように、霊的存在として、神の恵みを受け、神に応えて生きるという霊的呼吸によって生きるのです。このことによって、私たちは土で造られたものでありながら、確かに神に愛されているものであることを知らされ、神と交わりながら生きていくのです。

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