義なる神

御 言 葉

 命の書から彼らを抹殺してください。あなたに従う人々に並べて、そこに書き記さないでください。

  詩編 69:29


 国際関係において「やられたら、その倍にしてやり返すぞ」そのような発言をしている大統領がいますが、そのような心のあり方である限り、国々の間に、人々の間に平和はいつまでたっても築かれないでしょう。ですが、報復したい、復讐したいという気持ちは私たちの心に染みついていて、自分ではどうにもならないもののようです。旧約聖書の詩編を読みますと、報復したいという叫びに溢れているようにさえ思えます。そして、初めて聖書を手に取る人がこのような箇所を読むと、キリスト教徒はこのような事を認めているのかと誤解されそうで、牧師としては複雑な気持ちになります。しかし、そのような言葉に驚かないで、各々の詩を最後まで読みますと気が付きます。詩の著者は、必ず「それでも神様、報復はあなたにお任せします」という言葉で終わります。人間は自分自身の内面も含めて、他人の内面のことはよく分からない。神のみがお分かりなっている。しかも、正しいさばきが出来るのは神のみだ、そのことを理解しているので、人々は結局は報復は神にお任せしますと告白するのです。ですから、そう叫ぶことは、「神は義なる方、正しい方」と信仰告白しているのと変わりません。そして、この告白に対して、神はイエス様によって答えます。イエス様は病を癒し、神殿を清め、死に打ち勝ちました。それは悪の力が征服されたしるしです。イエス様がこの世に来られ、義なる神の到来を見た私たちは、義の神への信仰告白である往復の祈りを唱える必要はもうないのです。私たちは悪を憎みますが、人は憎みません。報復はもう必要ない、ひたすら義なる神の支配が世界の隅々にまで及ぶように求めていくのです。

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