私だけはあなたを捨てない

御 言 葉

 わたしは良い羊飼いである。良い羊飼いは羊のために命を捨てる。

    ヨハネによる福音書 10:11


 イエス様は私たちが羊だとおっしゃっておられます。羊は数多い動物の中で特別弱い動物です。羊にはライオンのような強い力もなければ鋭い牙もありません。ひとりで放っておかれたらたちまち道に迷い、他の獣の餌食になってしまうような憐れな、か弱い動物です。羊だと呼ばれることに不愉快感を覚える人たちもいるかもしれません。そのような人たちは、自分たちはライオンのような力強い者でないかもしれないが、せめてひとり立ちして生きていける者、他の助けなしに生きていける者、自分で自分を助けることができる者、そのように断言することでしょう。そのように生きてこそ生きがいのある生活が送れるのではないかとも言うでしょう。人間の長い歴史というものは、そのように考える人たちの歴史でもありました。しかし、その結果はどうでしょう。現代は未曾有の科学技術の発展の成果に囲まれながら、果たして人は少しでも自分で自分を助け得る者になっているでしょうか。疑問府を打ちたくなります。相変わらず世界のいたるところで混乱が生じてい、人は罪と死と、死んでしまえば何もかも終わりという虚無感を克服できずにいます。私たちが認めたがらなくても、イエス様の眼には、神様の眼には、私たちは憐れな羊と映っているのです。そして、私は良い羊飼いだから私のもとに来なさい、羊飼いがいなければあなたたちは惨めな生涯を送るだけだと、常に招きの手を差し伸べてくださっているのです。

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