神様が選んでくださった

御 言 葉

 信仰によって、アブラハムは、自分が財産として受け継ぐことになる土地に出て行くように召し出されると、これに服従し、行き先も知らずに出発したのです。

   ヘブライ人への手紙 11:8


  紀元前1900年頃、アブラハムという人(当初はアブラムと呼ばれていました)が、ユーフラテス河上流にありましたハランという町を出発しました。目的地は定かではありませんでした。心の中に促す声を聞いて、一大決心をして出発したのです。当時すでに結婚していましたから、妻のサラ(当初はサライと呼ばれていました)と亡き兄弟の子ロトを連れての旅立ちです。アブラハムはけっして無知で野蛮な古代人ではありません。紀元前5000年頃から発展し始めた古代の一大文明シュメール文明の地に生まれ育った人です。しかも、当時彼は土地の分限者の一人でしたから、おびただしい財宝と無数の家畜、そして多くの牧夫とその家族を連れて行かなければなりませんでした。旅する土地は異邦人の地です。その中を心の中に聞こえる声だけを頼りに進んでいったのです。彼は聞こえる声をただお一人の神の声と信じ、歩み通しました。そして彼の旅立ちは、結果として約1900年後の救い主イエス・キリストの誕生につながります。ですから、アブラハムの出発は神の人間への救済史の始まりとも言えるのです。今日の私たちもキリスト者になるということは一つの一大決心をしての旅立ちです。そして、神の導きをひたすら信じて歩みます。まさにアブラハムの歩んだ道と変わりありません。

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