マリアは思いめぐらした

御 言 葉

 しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。

    ルカによる福音書 2:19


 マリアは天使ガブリエルに「おめでとう、恵まれた方」と告げられましたが、そう告げられた時から苦難の連続だったのではないでしょうか。そうして、皇帝の勅令に従って住民登録のためヨセフの故郷に着いてみれば、泊まる宿屋さえありませんでした。結局家畜小屋の中で男の子を出産し、その子を飼い葉桶の中に寝かさざるを得ませんでした。周りを囲んでいるのは、社会から疎外されているような羊飼いたちです。その羊飼いたちが言います。「天使の告げた通りのことが実現した」と。マリアはその言葉を聞いて、考えをめぐらしたのです。彼女は気が付きました。確かに、人の目から見れば自分は辛い惨めな状況の中に置かれ続けてきた、しかし、これまで起こってきたことを振り返れば、このような暗い淋しい状況の中でも、神のなされた約束、預言者たちを通して伝えられてきた約束、天使ガブリエルから告げられた約束、それが成就しているではないかと。救い主は確かに彼女の前で寝ているのです。マリアの暮しはこれからも辛いものかもしれません。ですが、新しい光に照らされて、彼女はこれまでとは異なって人生の理解をすることが出来るようになったのです。

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