イエス様とヘロデ王

御 言 葉

 さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。

   マタイによる福音書 2:16


 東の方から占星術の学者たちがエルサレムに来て尋ねました。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。」(マタイ2:2)これを聞いて、ヘロデ王もエルサレムの人々も大いに動揺しました。王とは宮殿のような所に生まれて、権力の頂点に立ち、人々を力によって支配する者。これは後で彼らが知ることになるのですが、けっして家畜小屋に生まれて、飼い葉桶の中に布で包まれて寝かされているような者ではないのです。そのような者が王であるはずがないのです。しかし、神はこの飼い葉桶に寝かされている子どもを、その御計画によって救い主、王の中の王としてこの世にお遣わしになったのです。この王は、ヘロデ王のようないわば力の原理で生きている人々に対して、疑問を投げかける存在として、いえ否定する存在として飼い葉桶に寝ておられるのでした。力の原理で生きている者、あのヘロデ王はこのような存在に不安を抱き、王位を脅かすものだとして、ベツレヘム周辺の2歳以下の男子をすべて殺したのです。力の原理で生きている者、つまり自分の力ですべてを得ようとする者には、心の平安がいつまでたっても得られません。一方、飼い葉桶に寝かされている王は、成長して、私たちにこういう生き方をしなさいと身をもってお示しくださったのです。すなわち、空飛ぶ鳥や野に咲く花のように喜び多く生きなさいと。

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