この世の生き方

御 言 葉

あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。

     ヨハネによる福音書  16:33 b


 私たちがこの世の中で生きていくのにさまざまな苦しみや悲しみがあります。現代ならば、一人の人間が機械の一部品のように扱われるという苦しみが主なものかもしれません。役に立つということが第一で、そうでなければたちまち世の中の隅に追いやられてしまいます。一人の人間としての価値など二の次に扱われがちです。
 イエス様の生きておられた当時も、一人の人間としての価値よりも律法を守れるかどうかでその価値が評価されていました。守りきれない者たちにとっては苦しみや悲しみの多い時代でした。それは誤りだ、人はすべて神に愛されているのだということをその御言葉と業によって教えてくださったイエス様ですが、そのイエス様はやがてこの世から去り、天に昇られる方です。十字架にお付きになる前、イエス様は弟子たちに「お前たちは多くの苦しみに遭う」とお告げになりました。功績主義のこの世の中で、イエス様の教えてくださった通りのことを、イエス様無しで貫くことはまさに苦難の連続かもしれません。迫害にも遭うかもしれません。また、イエス様のお姿が目の前にありませんから、信仰が簡単に消え失せてしまうかもしれません。しかし、イエス様は私たちの外側から、そして内側から襲ってくるそれらもろもろの苦しみに既に勝利していると宣言されています。私たちの心が、たとえ目に見えなくても既に勝利されているこの方に結びついてさえいれば、苦しみに耐えられ、神様との愛の交わりに入り、本来の人間らしい暮らしが実現できるのです。

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